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生誕二百五十年のモーツァルト。。。。。 [コラム]

生誕二百五十年のモーツァルト。。。。。


生誕二百五十年のモーツァルトと、没後百五十年のシューマンの話題に埋もれたかもしれないが、今年は日本を代表する作曲家にちなむ年でもある。没後十年を迎えた武満徹さんだ

◆アカデミズムの外から彗(すい)星のように現れ、西洋と東洋の音を結んで世界的な評価を受けた。生み出したのはコンサート用の作品だけでなく、映画やCMの音楽まで幅広い。NHKドラマ「夢千代日記」の音楽も、この人の手になるものだった

◆間を生かした沈黙の時間が少なくない。この独特の作風は、ややもすれば難解といわれる。彼の作品を取り上げるプロの混声合唱団「ザ・タロー・シンガーズ」(芦屋市)の澄んだ歌声をCDで聞きながら、それは音に対する彼の厳しさだとあらためて感じた

◆メンバーによると、楽譜は細かい指示にあふれ、取り組むのに勇気がいるそうだ。親しみやすい旋律と繊細なハーモニーの裏に厳密さがある。それほどに一つ一つの音の響きを大事にした

◆彼はかつてこう書いている。「私たちはいま、個々の想像力が自発的に活動することが出来難(にく)いような生活環境の中に置かれている。眼や耳は、生き生きと機能せず、この儘(まま)、退化へ向かってしまうのではないか、という危(き)惧(ぐ)すら感じる」と

◆街路樹が少なく騒がしい都心で先日、セミの声が珍しく耳に入った。不意に、武満さんの言葉が浮かんだ。「私たちは、もう少し積極的に、この世界を、見たり聴いたりすべきではないだろうか」。季節が奏でる音に、じっと耳を澄ませてみよう。


 正平調
2006/08/07 神戸新聞


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