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被爆マリア [コラム]

被爆マリア

  題名に引かれて田口ランディさんの「被爆のマリア」(文芸春秋)を読んだ。被爆のマリアといえば、原爆の爆風で首から下を吹き飛ばされた浦上天主堂の木彫りのマリア像のことだ

▲原爆で倒壊した浦上天主堂の祭壇に飾られていたマリア像は、がれきのなかから頭部だけ見つかり、神父によって北海道の修道院で保存された。1975年に浦上天主堂に戻されたが、被爆60周年の昨年8月9日に祭壇と礼拝所が設けられ、安置されている

▲田口さんの作品は、父親が暴力をふるう家庭に育った若い女性が主人公だ。礼拝所ができた被爆マリア像の写真を載せた新聞の切り抜きを財布に入れ大切に持ち歩いている。といって原爆に関心があるわけではない

▲広島、長崎、チェルノブイリを訪ねた田口さんは、自分の体験していないことはわからないと言い切る。そのことを大事にしながら、原爆を「わたしの問題」として体験するには書くという行為でコミットするしかないと語る(「本の話」6月号)

▲暦のうえできょうは立秋だが、きのうは猛暑の甲子園で清峰が初戦を飾った。春の選抜を含め3度目の出場ながら堂々とした試合ぶりだ。大勝しても吉田監督の謙虚な姿勢は変わらない。それが何よりうれしい

▲あすは長崎原爆の日。被爆したマリア像の顔は黒く焼け焦げている。あの日から61年目の夏を迎えた。同じ炎天の甲子園では長崎の若者たちが活躍している。(憲)
 

「水や空」

2006年8月8日付 長崎新聞


 


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